

DTPの仕事がなくなるのではないかと心配している人
DTPの仕事ってこれからどんどんなくなっていくんじゃないかなぁ。
だって仕事ってWebの方にみんな移行しているみたいだし。
そもそもテレビ見たり、雑誌見るより、スマホでネット見てる時間の方が長いんだよね。
本や漫画だってスマホで見てるし。
広告だってWeb広告やWebマーケティングが流行っているんでしょ。

こんにちわ。
マサアキです。
今日はこんな感じの疑問にお答えしようと思います。
結論をいうと今回はその通りだと言わざるえません。
だからといって、DTPがこの世の中からきれいさっぱり消滅してしまうわけではありません。
とはいえ、脅かすつもりはありませんが、
- 広告、雑誌、書籍などのあらゆる紙媒体の仕事は、Webのほうへ移行しています
- そして、移行しているのは仕事だけではありません
- それにともなって、特に「DTPオペレーター」の仕事がなくなってきています
- なので「DTPオペレーター」さんはデザインスキルがあった方が良いです。もっといえば、グラフィックデザイナーさんもWebデザインへの移行を推奨します
では順番に見ていきましょう。
広告、雑誌、書籍などのあらゆる紙媒体の仕事はWebのほうに移行しています

【情報通信業を営む企業の営業利益と出版社の総売上の推移】
情報通信業の営業利益 | 出版社の総売上 | |
2009年度 | 3.3兆円 | 2.32兆円 |
2010年度 | 4.5兆円 | 2.13兆円 |
2011年度 | 4.1兆円 | 2.11兆円 |
2012年度 | 4.4兆円 | 2.03兆円 |
2013年度 | 5.3兆円 | 1.89兆円 |
2014年度 | 5.5兆円 | 1.87兆円 |
2015年度 | 6兆円 | 1.79兆円 |
2016年度 | 6.1兆円 | 1.71兆円 |
- 情報通信業の営業利益は総務省「平成29年情報通信業基本調査の結果」より
- 出版社の総売上は「ガベージニュース」より
これはもう、データを見れば分かると思いますし、身のまわりにちょっと注意を向けるだけでも様々なものがネットに繋がって来ていることに気づくと思います。
それならば、ネットの仕事が増えていくのも当然なわけです。
そもそも、普段の生活からしてパソコンやスマホでネットに依存していませんか?
スマホやパソコンでアドセンス広告やバナー広告などを見ない日はないですし、書籍やマンガなどもスマホで見ることができます。
現場では、紙媒体の仕事に加えて電子書籍やサイト更新などの仕事がセットになった案件も増えているんです。
これは、紙媒体の仕事をやっている同じ部署でバナー広告をつくったり、サイト更新するケースもあれば、デジタルコンテンツ制作という部署が新たに立ち上げられて、そこが一手に引き受けるケースもあります。
大手の製版会社だとデジタルコンテンツ制作の部署を立ち上げるケースが多いと思います。
しかし、今のところ「紙ありき」で制作や製版作業が行われて、「紙+Web」で売り出しているので、紙媒体としての仕事はなくならないとは思いますが、特に広告業界のネット売上データでは2018年の売り上げがテレビの売り上げと並んでしまっているんです。
このことからWebへの移行は今後もまだまだ進んでいくだろうと考えられますね。
2020年5月2日(土)追記
2019年1~12月の日本のインターネット広告費が、テレビメディア広告費を上回り、2兆円を超えたそうです。
日本の広告売上の推移と全体像を解説しています。
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世の中のあらゆるものがネットに繋がってきている限り、紙媒体の仕事もWebへ流れていくのも当然のことですよね。
移行しているのは仕事だけではありません、人材や、設備投資などのモノ、つまりオカネまで移行しているんです。

事実、マサアキはDTPからWebに転職しました。
しかも次はIT系のフリーランスをもくろんでいます(笑)。
DTP業界で思考停止状態で働いていたマサアキですら、「今後の将来性を考えるとDTPはちょっとどうなのだろう……?」って気づきました。
これは実際に働いていたからこそわかることだと思います。
20年近くDTP業界で働いていたので、過去の比較対象をよく理解していたからこそ、その落ち込み具合もよくわかるものです。
とはいえ、今さら転職活動をするのは大変だという意見もわかりますし、実際に職場の同僚にもそう言われました。
そして、実際に大変でしたし、Web業界で働いているいまでも苦労しています(笑)。
ただ、マサアキの感覚だと、現状のDTP業界はそこで働く人も減っていて、その上、仕事内容がWebで扱うことを前提にしたものが発生してきています。
つまり、これがマサアキが転職を決意した一番の要因で、それは「働く人も、仕事も減っていっている」ってことです。
マサアキがDTP業界で働くようになってからこのかた、人減らしは当たり前のようにありましたが、仕事まで減ってはいませんでした。
つまり、単価や賃金は下がるけど、仕事までは減っていかず、常に(サービス)残業や徹夜、休日出勤が常態化していました。
常に 働く人<仕事量 な状態だったわけです
ところが、近年、このブラック労働が減ってきているのではないか?
と感じるようになってきました。
働く人≒仕事量、働く人>仕事量 の状態になってきているのではないかと
もちろん、一部の職場ではまだまだ長時間労働をしている方もいるとは思いますが、マサアキやマサアキと一緒に働いている同僚たちはヒマになってきてたと言えば、ヒマになっていたんです。
それにともない、給料も減ってきて(もともと少ない給料がさらに減るって……)、持て余してしまっているスタッフも一部ですが、現れてきたんです。
それで、「仕事も減って、給料も減ってきている、これはホントにヤバいのでないか……?」とマサアキは思うようになりました。
DTPの仕事が減ってきていて、その一方でデジタルコンテンツなどのWeb関連の業務案件が発生して増えてきている。
つまりは、仕事やオカネ、労働者までWebに移行してるんじゃないかと思ったわけです。
それにともなって、特にDTPオペレーターの仕事がなくなってきています

これは直接的な原因が「Webに移行している」からではないと思います。
単純に現代人の「活字離れ」や「出版不況」が原因だと思います。
とはいえ、その「活字離れ」や「出版不況」に一役買っているのがネットなのではないかなとも思いますね。
忙しい現代人がその貴重な時間を手軽に見ることができるネットにあてているのです。
もはや、単純にDTPオペレーターの仕事って求人をみても少なくなっていると思います。
以前、大手印刷会社つきの製版会社のデザイン企画の人に言われたのは
もう(溢れた仕事は)国内に出してないよ、全部海外に出してる
でした。
その分国内の仕事はなくなっているわけです、DTPオペレーターの需要も当然減りますよね。
マサアキがオフショアへのディレクション経験をもとに書いています。
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確かに製版会社にいけばDTPオペレーターっているとは思います、いるはずです。
ですが、減ることはあっても増えてはいないと思います、でもたまに想定外に忙しくなって、臨時雇いを連れてくる程度だと思います。
DTPオペレータースキルしかない人たちは、いつ業務から外されて他の業務への異動になるかと戦々恐々としているんじゃないとか思います。
異動ならまだまだ良い方ですよね。
そんなわけで、もはや、単純にDTPオペレーターの仕事ってなくなってきてるんじゃないかと思います。
2020年8月13日(木)追記
先日、大手印刷会社のデザイン部門(グループ会社ですね)のディレクターさんに会って話す機会がありました。
コロナの影響で飲みにまではいかなかったのですが、やっぱり仕事は減っているようです。
しかも、ここ2、3年、仕事の大半は海外に発注していて、国内のデザイン会社や製版会社にはほぼほぼ頼んでいないそうです。
(これはもうひとつの大手印刷会社のデザイン部門の社員さんも言っていました、なので大手印刷会社ではほとんど海外発注ということですかね。)
コロナの影響もあって海外に渡航出来ず、現場を監督できなかったそうですが、現地のスタッフだけで日本語の案件をこなすようにまでなっているそうで、スキルも上がっているようです。
こうなると逆に、国内のデザイン会社や製版会社の仕事の精度が気になってくるそうです。
データのやり取りはオンラインストレージで行い、完成したデータは(大手印刷会社が)独自開発したオンライン校正システムで行うそうです。
お客様にもオンライン校正システムでチェックをお願いしているそうです。
ここまで技術が進んでくると、「言語の壁」以外にもう問題点がなくなってしまっている状態ですね。
話を聞いてマサアキが感じたことは、やっぱりオフショア(海外)に出すと、出す方も出される方もメリットがたくさんあって(だからこそやるんだけれども)、どうしても国内が不利になってしまうということですかね。
【オフショアに出すメリット】
- おもな委託先が東南アジアなので、まだまだ「円(通貨)」が強い、そのため外国企業は仕事を受けたがる、日本に支社を置いているDTPの東南アジア系の会社もあったりする
- こうなるとオフショアの現地で働く人たちの方が(同じギャラでも)身入りがよくなる
- 一方で日本国内では同じギャラだと利益が出なかったりもする、それでも海外に出している案件をムリに受注してくる製版会社とかもあるそう(どうやって利益だそんだろう?)
(仕事はタイトで大変だけど)同じギャラなのに、国内ではほぼほぼ儲からなくて海外だとホクホクってなんか切ないですが、これが日本のDTPの現状です。
なんとか直視しましょうね。
なので「DTPオペレーター」はデザインスキルもあった方が良いです。もっといえば「グラフィックデザイナー」もWebデザインへの移行を推奨します

デザインやレイアウトも出来れば、仕事の選択の幅や可能性も広がるからです。
もっといえば、すでにDTPオペレーターにはデザインスキルも求められているのが現状ですね。
「DTPオペレーター」と「グラフィックデザイナー」の区別より両方のスキルが現場では求められているのが現実
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営業スタッフさんは雑誌や書籍の案件自体が減っているのでかわりにカタログやパンフレット案件をとってきます。
そうするとオペレーター作業だけでなく、ページのレイアウト作業や内容によってはデザイン作業も発生するわけです。
製版会社によってはDTPオペレーターばかりででデザインスキルのないスタッフさんばかりのところもあります。
そうなると必要とされるスキルはレイアウトやデザインのスキルになるわけです。
マサアキのもとにも、実際にカタログ案件がやってきて、レイアウトやデザイン、ディレクションまでやるハメになりました。
これがまた大変なのですが……、その話はまた別の機会にします。
確かに冒頭で述べたように、DTPオペレーターの仕事は完全にはなくならないとは思います、ゼロにはならないでしょう。
でも、時代の流れなので減りこそはすれ、もう増えることにはならないと思います。
となると、「一生DTPオペレーターだけ」っていうのは難しい話になってくるんじゃないでしょうか……。
(一生一職業というのもこれから怪しくなるんじゃいないかとマサアキは思っています。)
というわけで、DTPオペレーターにはデザインスキルが必須スキルになってきているのが悲しいですが世の中の流れです。
さらにいえばWebデザインのスキルがあると良いと思いますよ、グラフィックデザイナーもWebデザインを目指した方が良いと思います。
この際だから、マサアキみたいに思い切ってWeb業界に転職してしまうとかでどうでしょう?
もちろん、色んな会社があります(DTPに負けず劣らずの会社もありますが(笑))が、DTPほど劣悪な環境ではないと思います、それに将来性だってまだまだあるでしょう。
DTPからWebに転職ってそんなに珍しくないみたいですし、紙媒体での経験が活かされたりすることもあるので良いんじゃないでしょうか。
機会があればマサアキの転職活動も記事にしてみようかなと思います。
それではっ。
この記事を書いた人:マサアキ
デザインの専門学校を卒業した後、DTP・デザイン業界の現場最前線で紆余曲折しながら約20年間働きました。
この記事とブログは私、マサアキの体験をもとに書いています。
転職サイトやフリーランスサイトなどでは語られない現場でのリアルなエピソードを盛り込んで記事にしていますので、どうぞお楽しみ(?)ください。
マサアキの経歴は以下の記事で詳しく紹介しています。